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◆(「はじめに」より)初めて「木簡」と称する字体に接した人は奇異な感じを持つことでしょう。それは意表を突く表現が平然と行われ、結体が千変万化しているからです。
急速に世に普及したコンピューターによって、用としての「文字」は機械が行い、手書きの文字は次第に芸術性を要求されつつある昨今です。
この「木簡」こそ、その芸術性の源泉になる千古不易の要素を十二分に内蔵しています。活力と瞬発力が自然であり、創作書が同時に生きることの奥義まで示唆していると思います。
二千年前の「用」と「美」を兼備した肉筆が物語っている可能性を応用することにより一挙に書芸術の領域は豊かに拡大し、また極められるでしょう。
本書が新たなる「書の展開」をもたらす一助になれば幸です。
●(凡例)
1.発掘公表されている筆跡は出来る限りこれを採択した(残存の多くは前漢代のもの)
1.新たに作字したものには特に出典は記さない。
1.木簡の字体は隷書の占めている比重が大きく、隷書の筆法が各書体に貫かれているので、主として隷書の性情をとり入れて編者の責任において作字した。
1.率意の中にある基本的な法則、又その逆も真であることを考慮し、安定した諸要素をブレンドした中庸の結体を作字した。
1.親字の採択と配列はほぼ「康煕字典」により書作に必要とされる7266字を選定した。音訓については一般的なものを一つ選定した。
1.本書は漢字造型の原則に従って偏旁冠脚を組合せて作字し、現代人のために、芸術書の可能性の拡大を試みたものである。
《著者略歴》
二瀬 西恵(ふたせ さいけい):昭和15年、群馬県藤岡市に生れる。群馬県立高崎女子高等学校卒業。財団法人日本書道教育学会会友。
《出版社》 木耳社