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「シリーズ・書の古典」(全30巻)の第22巻。
名君子のほまれ高い唐太宗のスケールの大きい逸品二種を、原寸で精密復元。
「温泉銘」は唐太宗最晩年の書。筆にうるおいがあり、渾厚雄大で、名天子の人柄を彷彿とさせる傑作です。1908年にペリオが敦煌千仏洞から発見した拓本は、立碑後わずか5〜6年後に採られた精密な拓本で、肉筆を見るような生々しさがあります。パリ国立図書館に所蔵されていますが、昭和40〜50年代に修復され、冒頭部分を初め多くの文字が生まれ変わり鮮明に見えるようになりましたが、残念なことに破損している部分もありました。
そこで、昭和53年、比田井南谷は新しい拓本写真をもとにして、破損された部分は書学院蔵の写真で補い、現在見ることのできる最高の手本を完成させました。そのときの製版フィルムから密着焼付をした印画を使用したのが、本書です。
「晋祠銘」は「温泉銘」より二年前に書かれたもので、書道史上、最も古い行書碑です。従来の碑は篆書・隷書・楷書が用いられましたが、王羲之を敬愛した唐太宗は、碑の保守的な形式を打破して、最高と信じ、かつ最も得意とするこの書体で書いたと思われます。形に拘泥せず、豪快に筆を駆使した雄大な書。
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