固形墨の書き味を再現する。
原点は固形墨より固形墨に近い表現ができる墨液造りのために、固形墨造りで最も重要な煤と膠を均質に混ぜる工程「混練り」を加えて造られています。
職人の技術をデータ化して、コンピューターによる半自動制御にすることで、安定した高品質製造を実現しています。
混練りとは煤と糊剤(膠)を均質に混ぜて、半ペースト状にします。丹念に練り込むことにより、糊剤(膠)で煤を包み込み、煤と煤が凝集できないようにして、同時に水に馴染むようにします。この工程が芯とにじみの表現に現れます。
<混練りした煤の状態>
取材中、混練りした煤をわけてもらいました。
細かい粒子と粗い粒子が混在し、各粒子の周りを糊剤(膠)が包んでいるのが良い状態です。
墨液の生産の多くはオートマチックに行われ大量生産を可能としています。
これにより無駄なコストを削減し、高品質低価格な墨液をつくることを可能としています。
創業210年以上の墨造りに裏付された製墨技術をもとに、膠や煤などの素材研究も日々深められています。
特に膠の研究においては大きな成果が得られ、多彩な墨造りへと繋げられており、生産が少なくなった墨専用膠の自社生産も可能にするなど常に研究し進化し続けています。
弛まぬ素材研究が墨運堂の強みでもあります。
発売より長年多くの方に愛用されている「玄宗」シリーズや高級墨液「天爵」「桐華」などの液体墨は、そのままで作品制作に使用できるよう高品質の液体墨として開発されました。
さらに、膠の研究成果により開発した「書法一品」「龍光」なども、発売よりたくさんの方々から支持を得ています。